集合住宅を題材とした作品の中で私が気に入っているものを参考にあげておきます。
ネタバレとまではいきませんが、白紙の心で作品と触れ合いたいならば閲覧はご遠慮下さい。
この他におすすめなどありましたら「こんなのありますよ」と教えていただけると嬉しいです。

▼映画「デリカテッセン」 〔監督〕ジャン=ピエール・ジュネ/マルク・キャロ
【 内 容 】
アパート兼肉屋を経営する主人が新しく住人を募集。
そこへ誠実そうな青年がやって来ます。
肉屋の娘は一目見て彼にひかれ、二人はやがて仲良くなります。
ところがこの住人募集にはある真意があって…。
【 一 言 】
悪趣味だけれど見ているうちにじわじわと浸食されていく面白さが好きです。
近未来が舞台なのですが、アパートや部屋などはレトロな雰囲気です。
ときたま設定が近未来らしくぶっ飛びます(地底人など)が…そこがまた味。
あとはアパートに住む他の住人達の奇っ怪な行動の表現が印象的。
私のいちおしは一番最後のシーン。
切ないメロディが素敵でたまりませんでした。
私にとってアパート創作の原点はこの映画です。

▼小説「望楼館追想」 〔著者〕エドワード・ケアリー〔翻訳〕 古屋美登里
【 内 容 】
望楼館と呼ばれる古い邸宅を改造した集合住宅に住む「ぼく」は
常に白手袋を身につけ、他人の愛したモノを盗み、蒐集する。
ある日、その望楼館に新しい住人がやってくる。
望楼館の住人達はやがてその住人の出現により、少しずつ変化を見せ始める。
それが気に入らない「ぼく」はどうにかして新しい住人を追い出そうとするが…。
【 一 言 】
最初に言ってしまえば、これはミステリィでもありラブストーリーでもあるのです。
でも多くの人はずいぶん読み進めてからしか気付きません。
そこがミソなんじゃないのかしら…私はそこに一番惹かれたし夢中になりました。
愛のカタチは非常にいびつで歪んでいるけれども。
二人の攻防戦(?)が繰り広げられる中盤が一番魅力的。

▼漫画「Kの葬列」 〔著者〕楠本まき
【 内 容 】
あるアパートでKという1人の男が死んだ。
しかしKの死体はどこからも見つからなかった、と言う。
Kの部屋に越してきた、ミカヤという青年は真相を突き止めようとするが…。
【 一 言 】
読めば読むほど深みにはまって謎が増えてゆく漫画。
AOを見た友人から「こんなのあるよ」と聞いて読んだのですが、
あまりに理想的な世界がひろがっていて驚きました…!
正直へこみました…が、コレはコレ!私は私!の精神で復活。
そういうのをぬきにしても漫画でこれだけ緻密に物語を組めることに感動。

▼写真集「Design of Doujunkai」 〔編纂〕ユナイテッドデザイン
【 内 容 】
「都市型文化的集合住宅」と言われた同潤会アパートメントを写した写真集。
すでに取り壊されたアパートの写真が多数載っている。
【 一 言 】
創作の手助けに。荒んだ心もいやされます…。
見ているだけでアパート内をウロウロしている気分にひたれる。
古い建物はこだわって造ってあるだけあってとても洒落ている。
ひとつとして同じ形のないアパートにときめきます。